現在、JRの駅窓口で売られているきっぷは、そのほぼすべてが、ロール紙にプリンターで印字されて出てくるものとなっています。
≪現在の一般的なJRのきっぷ≫
昔は厚紙に印刷された「硬券」というのが主流でした。
ICカードはおろか自動券売機さえもなかった時代、列車に乗るときはまず窓口に行き「〇〇(目的の駅)まで」と窓口の駅員に告げます。
すると駅員は棚に積まれたきっぷの束から一枚取り出し、それを機械に「ガチャン」と通すと日付が印字されます。そして渡されるきっぷが、厚紙に印刷された硬券でした。
きっぷは今度は改札口の囲いの中に立つ駅員に渡し、駅員はきっぷにパチンと鋏で切れ込みを入れて返します。
そしてホームに上がり、列車に乗るという流れでした。
以下、ぼくが収集した硬券のうちいくつかを紹介します。
≪硬券の乗車券。現在は廃止された可部線三段峡駅のもの。左に日付の印字、上部に改札鋏の切れ込みが入っている。
右側の斜線の部分をハサミで切り取ると小児の乗車券となった。切り取った右側の部分は、穴にひもを通して駅の控えとして保管した≫
≪硬券の入場券。鍛冶屋線の鍛冶屋駅(廃止)、加古川線の厄神駅、大社線の大社駅(廃止)平成2年3月に購入≫
≪硬券の特急券。日付は上記と同じ平成2年だが、12月には改札鋏から現在のスタンプに変更されている≫
≪上の特急券の裏面・売上管理のために通し番号が入っている。一日の業務が終了すると売上を計算し、残った一番上のきっぷに赤鉛筆でチェックを入れる。
すなわちチェックが入ったきっぷはその翌日に一番最初に売れたきっぷである≫
厚紙の硬券に対して、ぺらっとした普通の紙に印刷されたものは「軟券」と呼ばれました。
硬券はあらかじめ乗車区間・金額・発行駅などが印刷されています。これに対して軟券は必要な個所を駅員さんが手書きで記入して発売するものが多く、主に長距離の乗車券や指定券などに使われていました。
以下の写真の軟券もぼくが収集したものです。
≪軟券の乗車券。カーボン複写式になっている。カーボン紙の上から駅員は必要事項を記入し、うち下の複写した部分をきっぷとして渡し、駅員が記入した部分は駅の控えとして保管する≫
≪軟券の急行券・指定席券。これもカーボン複写式。
「みどりの窓口」が無い駅で発行されるもので、駅員は電話で空席を問い合わせてから必要事項を記入する≫
≪軟券の乗車券。こちらはカーボン複写式ではなく、駅員は別紙に控えを記入してから発行していた。廃止された三江線を経由する。
多度津・丸亀・新見・江津・新下関の途中下車印が押されている。石見川本(廃止された三江線の駅)では駅名小印で代用されている。左下の型押しは車掌の検察によるもの。現在は検察の時もスタンプを押印するが、当時はこのような型押しを行っていた。
これは筆者が大学生の時に購入したもので、矢印の上の「学・41」のスタンプは学割で購入した乗車券を示す。≫
今はプリンターで発券し、売上管理もすべてコンピュータで行われます。これが昔はすべて手作業で行っていたわけで、大変だったでしょうね。
いや、これは駅に限らず社会全般に言えることですが・・・
もっともコンピュータ社会になったらなったで、何かと苦労も多いものです・・・。
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